迫る恐怖
投稿者:十六夜 様


以前住んでいたマンションで体験した話です。

その日は仕事で帰りが遅くなったので
自宅のあるマンションへ着いたは既に日付が変わった頃でした。

いつものようにエレベーターに乗り、9階のボタンを押すとゆっくり昇り始めました。

蒸し暑い日でしたがエレベーター内もかなり蒸し暑くて
仕事の疲れと眠気でボォ〜っと下向き下限の私の視界の隅に
エレベーターホールに立つ人影が見えました。

今では珍しくもありませんが当時住んでいたマンションのエレベーターは
ドアに窓があるタイプで中から外が見えます。

「 こんな時間から何処へ出掛けるのかな? 」
なんて思いながら視線を上げると4階の所にランプが点いています。

まだ4階・・・
視線を窓の方へ向け
ボォ〜っと外を見ると5階のホールにも人が立っていました。
服装、髪型で
女性ということは分かりますが下を向いて立っていたので顔は確認できません。

「 女がこんな時間から何処へ行くのだろう?
    そう言えば3階でみた人影も女だったのかな? 」
なんて考えながらも窓の外を見ていると・
6階のホールにも人が立っています・・・ それも先程の女性が・・・・

「 えっ!? 嘘っ!!! そんなまさか・・・ 」
一瞬で眠気が吹っ飛びました!

「 たまたま同じような髪型に服装だったのか?
      それともなにかの見間違い?・・・ 」
なんて考えているうちに7階のホールが迫ってきます・・・

7階のホールを見た私はパニックになりました!
立っているのです・・ 先程の女性が・・・
もうなにがなんなのかさっぱり分からなくなりました・・・
誰かの悪戯かとも考えましたが
階段は建物の端にあるので先回りしてホールに立つなんて考えられません・・・
それとこの時気がついたのですが女性の頭が少しずつ上を向いているのです・・・

5階では足元を見るようにダラ〜ンと真下を向いていました・・・
6階では足元の少し先を見ているような頭の角度・・・
7階では顎が確認できる程上を向いていました・・・

8階のホールが見える位置まで来た時、やはり女性は立っていました・・・
思っていた通り7階で見た時よりも頭の角度が上がっていました・・・
前髪に隠れて少し顔が見えないくらいに・・・
ここまでくるとパニック感も極限です!
次の階が自宅のある9階・・・
「 エレベーターが停まった時・ ドアが開いてあの女が居れば
        気が狂ったような錯乱状態に陥るのではないか??? 」

ドクンッドクンッと高まる鼓動・・・
「 チィ〜ンッ 」 と目的の階に着いたことを告げる音と共に
エレベーターは静かに停まりました。
冷や汗ビッショリになり、目を見開くような状態で窓の外を凝視していましたが
女性の姿は確認できませんでした。

ゆっくりとドアが開き
先程見た女性はいったいなんだったのかなんて思いましたが
一刻も早く自宅へ入りたくて慌ててエレベーターから降りました。

降りて直ぐに右へ曲がれば自宅へ通じる廊下です。
急ぎ足で右へ曲がった私は絶叫し・・・ その場で気を失ってしまいました。

あの女性が立っていたのです・・・・

明け方近くに救急隊員の方の声で意識が戻りました。
誰かが倒れている私を見つけて119番へ通報してくれたのでしょう。
自宅に帰り着いた私は仕事を休んで荷造りをして
その日の内に現在住んでいるマンションへ引っ越しました。

でも・・・ 当時からなのですが
最後に見たであろうあの女性の顔がどうしても思い出せません・・・

あまり深く考えないようにはしているのですが・・・ とても恐ろしい体験でした。



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