非常階段
投稿者:にくどん 様


高校を卒業して就職と同時に初めて1人暮らしを始めた時の話です。

職場の近くにワンルームマンションを借りました。
5階建てで3階の一番奥の部屋です。

慣れない仕事で疲れ果て、マンションに帰っても
最初の数日間はシャワーを浴びて寝るだけの日が続きました。

仕事にも少し慣れ
気持ち的にも余裕が出来てきた頃にあることに気がつきました。

夜中、壁越しに聞こえる階段を上がる足音で目が覚めました。
鉄製の非常階段なのでしょうか
コツコツと言うよりもカンカンと甲高い足音です。
最初に聞いた時にはそれ程気にもなりませんでしたが
2〜3日後の夜中にまたその音で目が覚めました。
枕元の時計を見ると2時を少し回ったところです。
カンカンカンと甲高い音なので気になりだすと気になります。

次の日も次の日も足音で目が覚めました。
時計を見ると2時を少し回ったところ。 毎日同じ時刻です。

仕事にも集中出来なくなる程
足音が頭から離れなくなったそんなある日の職場からの帰り道。
おかしなことに気がつきました。

入り口を入って直ぐの所にエレベーターも階段もあります。
それらを利用せずに何故わざわざ奥の非常階段を利用するのだろう?
何か意味でもあるのだろうか?

マンションに帰りとりあえず非常階段を確認する為
通路の奥を覗いてみましたが、壁があるだけで扉などありません

よく考えると私の部屋も3階で
一番奥なのですが、突き当たりはただの壁なのです。
ならば非常階段へはどうすれば行けるのだろうと
部屋に帰り建物の後ろに面した窓を開けてみて言葉を失いました。

この建物に非常階段など無いのです。

向かいはビル。 両隣もビル。 近くに非常階段など何処にもありません。

しばらく訳が分かりませんでしたが直ぐに背筋がぞっとしました。

その日からとりあえず実家へ戻り
マンションへ帰る事無く引っ越ししてしまったので
原因は解らずじまいでしたがあれは何だったのでしょうか?

今となれば確かめてみたい気にもなりますが、当時は凄く怖い体験でした。



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